性犯罪厳罰化の刑法改正、法相時代の指示が実現へ

一昨年9月、法務大臣に就任直後の官邸での会見で「女性の心身を傷つけ、人生を狂わせるおそれのある強姦が、モノを奪う強盗よりも罪が軽い。刑法を改正したい。かつて犯罪被害者基本法の議員立法にかかわったが、性犯罪の被害者は声をあげにくい。ふだん女性であることを意識して仕事をすることはないが、これだけはずっと改めたいと考えてきた」と述べ、翌日、性犯罪厳罰化のための検討会設置を指示した。

検討会は昨年夏までに12回開かれ、その報告に基づいて昨年秋、岩城法相が法制審議会に刑法改正を諮問。順調にいけば,秋には答申が出されて改正法案がまとまり,来年の通常国会にも成立が期待できるところまで来ている。

現行の法定刑で私がおかしいと指摘してきたのは2点。「強姦罪は懲役3年以上」で「強盗罪は懲役5年以上」であること。「強姦致死傷は懲役5年以上または無期懲役」なのに「強盗致傷は懲役6年以上または無期懲役」で「強盗致死は死刑または無期懲役」であること。


現行の制度
強姦罪 懲役 3年以上
強盗罪 懲役 5年以上
強姦致死傷罪 懲役 5年以上または無期懲役
強盗致傷罪 懲役 6年以上または無期懲役
強盗致死罪 死刑または無期懲役


10年ほど前、法務委員会で怒りを込めて質問したところ、明治時代にできた法律を、いろいろバランス取りながら改めてきて、これでも逆転の差が縮まってきたのだとか、これは法定刑の下限であって裁判で重い判決も出せるのだから、といった内容の答弁が返ってきて怒りが増幅したことがある。女性の地位が低かった時代の法律の 残滓なのだ。

今回の案は、まず、法定刑の引き上げでは、強姦罪を現行の強盗罪と同じ「懲役5年以上」に改め、強姦致死傷罪を強盗致傷罪と同じ「懲役6年以上または無期懲役」に改める。

まだ逆転させるには至っていないし、強姦致死は強盗致死より軽い。私としては不満 も残るが、「殺人罪は懲役5年以上」なので、それを上回るわけにはいかないことや、強盗関係の部分も改正しようとすれば、また何年もかかるなどの事情を考慮すれば、大きな前進として納得することにしている。

また、強姦や強制わいせつは、現在、被害者の告訴がなければ犯罪にできない親告罪だが、非親告罪に改める。被害者が訴えにくいケースがあることや、加害者が「あいつが警察に言ったから、オレが捕まった」と逆恨みして第二の犯行に及ぶ危険もあるためだ。

私が犯罪被害者問題に関心を寄せるきっかけになったのが、まだ議員になる前に江東区で起きた事件だった。強姦罪で実刑になった男が刑務所から出所後、自分を告訴した被害女性を殺害したのだ。

当時は、犯罪被害者の権利は極めて薄く、加害者が起訴されたか、裁判がどうなって いるのか、刑務所に入ったのか、刑務所からいつ出てくるのか、など、被害者には全く知らされなかった。私は、この被害女性が本当にかわいそうでならなくて、法律はひどいと思ったのだ。

また、法改正で新たな罰則が規定される。 「18歳未満の者を監護する者が影響力を利用して、わいせつまたは性交をした場合、強制わいせつ罪または強姦罪と同様に処罰する。」

これは例えば女の子が親、義父、母の恋人など同居したり生活の面倒をみてもらっている相手から、そうした行為をされても、「可愛がっているだけ」と言い聞かされて 被害を認識できなかったり、あるいはイヤでも家族にさえ相談できず、声を挙げることが出来なかったりして、繰り返されることにもなりかねない。性的児童虐待をきちんと刑法の対象にするわけだ。

検討会の段階では「地位・関係性を利用した性的行為」としていたので、スポーツの指導者と選手の関係や、先生と生徒、職場の上司と部下の関係など関係性をどこまで広げるかが議論の対象となったが、結局、法制審の段階で「18歳未満に対する監護者」に限定することになった。

 

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